男子の本懐 城山 三郎 著







 これはすごい本でした。胸が痛くなるというか、体が熱くなりました。


 ライオン宰相といわれた浜口雄幸と、その盟友であった井上準之助蔵相の、まさに命を賭した「本物の政治家」の話です。


 もちろん、あくまでも小説です。ですが、対照的な二人ではありますが、日本をよくしたい、という強い思いは充分伝わってきましたし、そこには一点の曇りもない純粋さが溢れています。


 浜口雄幸は高校の教科書なんかでは、「ライオンみたいな総理大臣」といった印象しかありませんでしたが、本書を読む限り、気骨の塊みたいな人です。


 一方の井上蔵相も(かなりの伊達男だったようです。)、その優しい顔の奥で、これも私情をはさまずに「明日の日本」のことを真摯に考えていたようです。


 もちろん二人のとった「金解禁」の措置は、歴史的には評価されていません。しかし、日本を憂い、この国に自身の命をささげた態度は感動的です。


 実際、二人はほぼ同じ時期に凶弾に倒れます。浜口は・・・

 これ以上はよしましょう。

 この本は、ほんとうに引き込まれますから、一度手にしてみてください。

 不器用だけど、純に生きた「明治の男」の本質が染み入りますよ。



たなか社会保険労務士事務所

社会保険労務士/キャリア・コンサルタント

田中雅也

TEL/FAX  0794−63−2391





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