| Q. |
X社はアットホームな社風です。従業員も20人ということもあり、家族ぐるみの付き合いをしている社員同士もいます。Y子さん(35)もそんな社内の雰囲気が気に入っていました。欲をいうなら、母子家庭ということもありもう少し給与がよければな、と常々思っていました。
ある朝、新聞に目を通すと大手企業がサービス残業の支払いを裁判所から命じられている記事がありました。「私も随分と残業しているわ。私も遡及して残業代を支払ってもらえるんじゃないかしら?」
Y子さんは思い切って社長に聞きました。返事はノーです。
「君の子供さんの体調が悪いとき、早退を認めたりして、いろいろと便宜をはらっているだろう?」
確かにそれでY子さんは随分と助かっています。しかし、それとこれとは別なんじゃない?
そう思ったY子さんは知人に相談し、その知人のアドバイスで地元のZ合同労組に入り、Z労組を通じて,X社と交渉を始めようとしています。
この場合、X社は社長が部外者であるとするZ労組との交渉のテーブルに着かなくてはならないのでしょうか? |
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| A. |
X社から見れば寝耳に水、といった感じでしょう。また、企業内組合ならともかく、それまでまったく関係のなかったZ労組との団体交渉なんて、感情論からすれば応じたくないものです。しかし、事例のように労働者の労働条件に関連するものである限りにおいては、一般的には義務的団体交渉になるとされています。交渉相手が、合同労組でも、団交事項についての考え方は、基本的に同じです。
労働組合法第7条2号により、使用者は正当な理由なく団体交渉を拒否できないのです。
よって本件においてもX社はZ労組からの交渉に応じる必要があります。
今回の場合はまた、出勤簿等の調査、または、Y子さんが手帳等にサービス残業の時間を克明に記していたりしたときは、それを証拠として未払いの残業代は支払わなければならないでしょう。
事業主がアットホームな社風と自負していても、労働者は毅然とした態度で権利を主張し始めています。コンプライアンス(法令遵守)の精神は企業規模にかかわりなく必要とされています。 |